何度でもときめくトワルドジュイの世界とカルトナージュ


ここ最近、アパレルショップやインテリア雑貨のお店で、トワルドジュイの洋服や小物がよく見かけられるようになりました。カルトナージュが好きな方にとって、トワルドジュイは馴染みのある柄ですよね。

クラシカルで優雅な柄が、唯一無二の世界観を持つトワルドジュイ。ここ1~2年のブームで、多くのブランドがトワルドジュイ柄のアイテムを扱うようになりました。

 o1080081015163325778
AtelierPetitsBonheurs

いま改めて注目のトワルドジュイですが、その魅力はどこから来るのでしょうか?

今回は、絵画のように美しいフランス伝統生地トワルドジュイの魅力と、サロン発の美麗なカルトナージュ作品をお届けします。

トワルドジュイの歴史~現代へ受け継がれるエレガントな世界~

最先端から伝統へ。東洋の美を取り入れて

トワルドジュイは、18世紀にフランスのジュイ=アン=ジョザスと呼ばれるヴェルサイユ近郊の町で生まれました。「ジュイの町で作られた布」ということで、フランス語で「Toile de Jouy(トワルドジュイ=ジュイの布)」と呼ばれるようになりました。

 o1080108014638082681
Atelier L’arbre(アトリエラルブル)

17世紀後半のフランスでは、インドからもたらされたインド更紗が人気を博していました。

インド更紗は、植物や動物などエキゾチックでオリエンタルな柄が美しく、洗っても色柄が変わらないという特徴がありました。当時、絹や毛織物が中心だったフランスの人びとにとって、インド更紗は大変魅力的に映ったそうです。

そのような背景から、フランスではインド更紗が大流行しますが、伝統的な織物業界からの反発を招いてしまいます。ほどなくしてインド更紗の輸入は中止され、使用まで禁止されてしまいました。

 jan-zinnbauer-EFYBjzuaqzk-unsplash

それから70年後の1659年、禁止令が解かれると、当時フランスで活躍していたドイツ出身の版画技師クリストフ=フィリップ・オベルカンフが中心となって、ジュイの地にプリント布地の工場を開きます。

トワルドジュイの評判はフランス王室へと伝わり、ルイ16世の時代に宮廷の御用達となりました。フランス革命以降も、ナポレオンから勲章を授与されるなど、伝統的ファブリックとしての地位が築かれていきました。

惜しくも、不景気のあおりやオベンカルフの死去を受け、1843年に工場は閉鎖されてしまいますが、芸術作品のように美しいジュイの柄は、現代に至るまで忠実に再現され続けています。

一瞬の風景を切り取って。タイムレスに輝くトワルドジュイ

ジャン=バティスト・ユエは、トワルドジュイを支えたとされる、最も有名なデザイナーです。

動植物や神話、戯曲など、さまざまなモチーフをもとに、ジュイ地方の美しい自然にインスピレーションを受けながら、数多くの繊細でバラエティに富んだ作品が生み出されました。

o1080105614642498098
Atelier L’arbre(アトリエラルブル)

フランスの風景や歴史の場面など、写真のように瞬間の美しさをそのまま生地に落とし込むトワルドジュイのデザインは、世界中の多くのデザイナーに影響を与えました。

当初のデザインは、代表的な『田園の楽しみ』などの非対称な柄がメインですが、当時の人びとの好みを反映し、アラベスクスタイルの左右対称の柄も生み出されるようになりました。飽きの来ない優雅なデザインは、今でも人びとを魅了しています。

21012506
カルトナージュ教室CIEL(シエル)

現在では、工場跡地にトワルドジュイ博物館が建てられています。

色とりどりの花壇が美しく、オベルカンフ家のサロンが再現されていたり、トワルドジュイの小物を取り扱うブティックも併設されているそうですよ。トワルドジュイの世界を思う存分、味わうことができます。ぜひ1度は訪れてみたいですね♪

 トワルドジュイの作品で暮らしを素敵に

眺めているだけでうっとりしてしまうトワルドジュイは、私たちの生活をより美しく、楽しく彩ってくれます。「どんな風に取り入れようかな」、「いつもいっしょに持ち歩きたい」カルトナージュの作品は、そんな願いを叶えてくれます。

毎日の生活に気軽に取り入れられるようデザインされた、カルトナージュ作品をご紹介します。

 基本のかたちで楽しむ

リュディヴィーヌのミニチェスト

21031822
カルトナージュ教室CIEL(シエル)

カルトナージュの基本的な箱であるチェストのミニサイズボックスです。生徒さんの作品で、オンラインで作られたそうですよ。こちらで使われている生地は、 トワルドジュイの中でも有名な柄のひとつリュディヴィーヌです。

リュディヴィーヌを見て、「どこかで見たことがあるような…」と思われる方も多いかもしれません。リュディヴィーヌは、フランスの画家ジャン・オノレ・フラゴナール『ぶらんこ』という絵画からインスピレーションを受けてデザインされたと言われています。

ドレスを身にまとった女性が、蝶や天使に囲まれて遊ぶ優雅なひととき。当時、貴族しか目にすることのなかった西洋絵画の世界だからこそ、私たちもそこにアンティークを感じ取るのでしょう。

水車と水鳥のマガジンラック

f0199750_20394346
Perles de sucre

柄を全面に楽しみたいとき、面を大きく使えるマガジンラックがぴったりです。水車と水鳥の柄に、ギンガムチェックを合わせて可愛らしさがプラスされています。

トワルドジュイの人物柄は、カマイユという単色濃淡の配色がなされています。1色を用いて、地にゆとりある間隔で人物が描き出されています。
柄に柄を合わせているのに、なぜか不思議とマッチする理由はここにあります。

単色で描かれているのには、当時の技術的、コスト的側面がありますが、この色づかいこそがトワルドジュイならではの優雅で品のある雰囲気を醸し出していると言えるでしょう。

 メルヘン柄のダストボックス

19090914
カルトナージュ教室CIEL(シエル)

不思議の国に迷い込んだアリスが、お城からひょこっと顔をのぞかせています。シンプルな形の4面のダストボックスは、それぞれの面で異なる絵になっていて、どこから見ても楽しめる仕様になっています。

大きな柄をどのように活かすか、想像の幅を広げてくれるのもトワルドジュイの布ならではですね。上品でありながら、ユーモラスで遊び心があります。
面や段ごとに主人公を変えたり、切り取る柄の位置を変えてカットしてみたり、作るたびに新たな発見がありますよ。

さまざまなかたちで楽しむ

風景柄の一輪挿しスタンド

o1078131215155831419
Atelier nunobaco Lierre

一輪挿しスタンドは、小さめでありながら柄の出方が綺麗になるように、風景柄を採用しています。流行りの試験管タイプのベースを入れて、ちょっとしたスペースにお花を飾って楽しむことができます。

o1080116815147219781

こちらの写真では白のお花を挿していますが、花とベースの色の組み合わせを考えるのも楽しいですね♪柄違いでいくつも作って飾ったり、プレゼントにしてもいいかもしれません。

日ごろはシンプルなアイテムも、このように存在感あるインテリア小物にしてくれるのはトワルドジュイの魅力のひとつですね。

シノワズリのペルメル

o1080108014828010983
AtelierLeviosaOsakaレビオーサ 

中国趣味の影響を受けたエキゾチックな柄も、トワルドジュイでは定番です。こちらはイエローにグレーの単色で描かれた明王朝という柄です。華やかで思わず目を引きますね。

生地の色とリンクするように、リボンとブレードの色をグレイッシュな色で合わせて、センス良く仕上がっています。

ペルメルの場合、周りに額縁を合わせても素敵です。その場合、真新しい額よりは、多少アンティーク感のある素材の方が似合います。骨董市や蚤の市で見つけてみるのも良いですね♪

縫わないバッグ&ポーチ

o1080108014972074138
Atelier L’arbre(アトリエラルブル)

カジュアルにもエレガントにも合わせられる、田園風景のトワルドジュイが大胆にデザインされたバッグとポーチです。こちらの作品、なんと針も糸も使われていません。

フランスで買い付けた生地を使用していて、本場の布ながらビニール加工が施されているため、雨にも強く実用的です。見た目の美しさと、実用性を併せ持っています。

さらにはオンラインサロンでの作品ということで、自宅にいながらこんなにも本格的な作品が作れるなんて驚きですね!


19122007
カルトナージュ教室CIEL(シエル)

この記事ではご紹介しきれないほど、トワルドジュイにはさまざまな絵柄やパターンがあります。200年前のフランスの流行や憧れの世界に思いを馳せながら、あなたのお気に入りのトワルドジュイを見つけてみてくださいね。

作品を作ってみたい!と思われた方は、こちらからお近くのサロンを検索できますよ♪

季節や気分に合わせたトワルドジュイ作品で、あなたの毎日がもっと素敵で楽しくなりますように。