どんなことをしていてもそうだと思いますが、私にとってカルトナージュは、モノを作るということを通してたくさんの気付きを与えてくれるものです。
子どもの頃、夢中になって工作をしたことを思い出し、大人になった今、童心に戻って同じことをしていると思うおかしさもこみあげてきます。
カルトナージュでストレス解消?
カルトナージュの体験レッスンで生徒様によく言われるのが「ストレス解消になった」という言葉です。ストレス解消といえば身体を動かした後の爽快感を思い出すので、「カルトナージュでストレス解消?」と最初は思ったものです。
でも、「ああでもない、こうでもない」と一生懸命作っているときは、想像力を使って遊んでいるときと同じなんだと気がつきました。子どもの頃、ブロックを作ったり、絵を描いたりしているとき、お人形と遊んでいるときなどは、自分の世界を楽しんでいたことに気が付きました。
大人になって、くだらない、役にたたない、時間がもったいないなど、理由をつけて想像を楽しまなくなってしまっていたのです。
カルトナージュは役にたたない
カルトナージュは、実用性のあるものだとは思いますが、別になくてはならないものではありません。
「カルトナージュを習っている」と友人に言ったとき、悪気なく「箱にデコレーションなんてする人いるの?シンプルな方がみんな好きなんじゃないの?」と言われ、何も言い返せませんでした。
今なら「私は、そういうのが好みなの」と言えるのですが。
自分が好きなものに自信が持てませんでした。カルトナージュを習うことが正解なのか間違いなのか、自分の好きなものが人に認められないと自分も否定されたようなそんな気持ちを感じていました。
カルトナージュのすばらしさ
しかし、ひとつずつカルトナージュの作品が増えていくたびに、自分に自信が持てるようになっていきました。
生地はどんなものが好きなのか、どんな形を作ろうか、お部屋のインテリアはどんなものが好きなのかを自然と考えることで、私はこれが好き!そして他の人が作る作品も素敵!そんな風に自分の作品にたくさんの思いを込め、ひと手間ひと手間丁寧に作り込むほど、愛しさが増していく……そんなカルトナージュのすばらしさに、どんどん心が豊かになっていきました。
なんの飾り気もないものに装飾を加えることの豊かさ。
機械生産の波が押し寄せた時代、ウィリアム・モリスは、アーツ&クラフツ運動で人の手が作り出す素晴らしさを見直しました。
たくさんモノがあふれる時代だからこそ、人の手のぬくもりが感じられるカルトナージュに癒されるのだと思います。
カルトナージュは誰にでも簡単にできる
カルトナージュは大変細かい作業が必要と思っている方が多いように思いますが、私は、カルトナージュは、比較的簡単に誰でもできる工芸だと思っています。
きちんと習えば、自分で作りたいものを自分の作りたいサイズ、デザインで作ることができるようになります。そして、初心者でも完成度が高く満足が得られる作品を作れます。
私は、生徒さんが「カルトナージュで作った自分の作品が褒められて、しかも自分が作ったと言ってさらに驚かれて」と満面の笑顔で話されるのを聞くのが本当にうれしいです。
カルトナージュは、自分で作るオートクチュール。これからもカルトナージュで自分の世界を楽しむ喜びを伝えていけたら幸いです。