第3回「月の始めのスケジュール帳は真っ白」

カルトナージュの教室をはじめて、仕事への価値観が変わりました。

以前は、朝起きて「あー仕事に行かなくちゃ」と思っていましたが、生徒さんが来る日は、親しい友人を迎えるようにウキウキします。ブログを通じて、イベントのお話や販売のお話などに声をかけていただいたり、自分を取り巻く人間関係が変わり始めました。

心の変化とともに現実が変化する様子を書いていきます。

私の周りの楽しい人々

それまで仕事の付き合いといえば、取引先、社内においては上司、同僚、後輩など上下の関係でしたが、カルトナージュを通じた出会いでは上下関係でないお付き合いができる人と知り合い、仕事に発展したり、よい刺激をもらったり、お互い尊敬しあえる人と出会えるようになりました。

毎日同じ面々の会社と違い、会いたいときに会う縛りのない自由な関係です。今までこんな人たちがどこにいたのかと思うほど、職業もさまざまでした。

時間の縛りもなく、戻る時間を気にせず自由にランチが出来ることにも、こんなに自由でいいのかと最初はソワソワしました。


カフェふくろう(ステンドグラス作家のご主人とマクラメアクセサリー作家の奥様と)

自分の行動は、自分で決めなくてはいけない

これまでは、時間が来たら仕事を始め、時間が来たら仕事を終えるという、時間の管理の下で仕事をしてきましたが、ひとりだと時間をどう使うのか、生徒さんが来てくれる日以外をどう使うのか、すべて自分が決めることになります。

ダラダラすることももできるし、何か勉強したりお掃除したり、1日中作品作りをすることもできます。

言われたことをすればいい、自分の時間を売っている会社員という立場のありがたみが初めてわかりました。
勤めていた時には気づかなかった、生徒さんが来ない日などの不安や焦りを感じるようになりました。

あんなに時間単位でスケジュール帳いっぱいに書かれた予定や行事を確認していた日々から、真っ白なスケジュール帳を眺める日々へ。悲しい気持ちになりました。

手帳

生活の変化と気持ちの変化

必死で走ってきて半年くらいたち、少し落ち着いてきたころ、来月のスケジュール帳が真っ白なことに不安を感じなくなりました。気が付けば、月の終わりには何かしらの予定で埋まるようになっていたからです。

お教室を始めたてのころは、空いた日は積極的に人に会いに行ったり、自分で予定を立てていましたが、だんだんと、私のスケジュールが真っ白なのは予定がいつ入ってもよいようになのだと思えるようになりました。

実際に、そのころには急に仕事がふっと入ってくるようになったからです。
暇だと思えるときは、案外やらなければいけないことをやっていなかったり、作ろうと思っている作品を途中でおいていたりで、自分の周りを見渡して忘れていることはないか、先送りしているものはないかと考え、与えられている空白の時間の活用の仕方もわかってきました。


初めてのワークショップ

実は先生という職業が一番嫌だったんです

カルトナージュの教室を主宰して、「先生」と呼ばれることが嫌でした。学校の先生のイメージが良くなくて、一番なりたくなかったのが先生でした。先生はこうあるべきといった、理想の先生像も自分自身にありました。

しかし、生徒さんが楽しく学ぶにはどうすればよいかを考えたり、作品が出来上がった時のすごく嬉しそうな顔を見たり、お話しや作品からお人柄がわかったりと、自分が勉強させていただくことのほうが多く、「こんなに先生って楽しいの!」と今では思っています。

レッスンの準備


■コラム執筆者のプロフィール

2018年4月より大阪府岸和田市でカルトナージュ教室「Salon de Elais(サロンドゥイリアス)」を主宰。
現在も「Atelier Neige (アトリエネイジュ)」の葛井先生に師事し、カルトナージュのスキルアップに邁進している。

サロン開業以前から幅広くハンドメイドの腕を磨いており、その作品のクオリティの高さは周囲を驚かせるほど。
バレエをはじめダンス全般、読書、シュガークラフト、美しいものを見ることなど趣味も多く、多方面に広げたアンテナで、自らの作品にエッセンスを加えている。憧れるのは中世ヨーロッパ。

「自分を信じてチャレンジを楽しむこと」を大切にしている。
「自分に『失敗してもよい』と許してあげること」が、自分を信じることに繋がるとの考えをモットーに、年齢にかかわらずチャレンジを忘れない気持ちをもって活動中。

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